コロナワクチン接種と下肢静脈瘤治療の治療時期について
2021.06.15
コロナワクチン 接種環境の変化に伴い下肢静脈瘤関連の質問を多くいただくようになりました。
新型コロナワクチンの場合、リスクに関する正確な情報は多く存在せず、個別の案件で判断していくのが現状となっており、当院では以下の通り考えております。
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「下肢静脈瘤がある状態でコロナワクチンを接種して良いか?」
現状ではワクチン接種禁止事項に下肢静脈瘤は含まれませんので、下肢静脈瘤が存在する状況でコロナワクチンを接種することは問題ないと考えます。 -
「コロナワクチンの前後に下肢静脈瘤の手術をして良いか?」
当院ではワクチンを使用する目的と有効性を考慮し、個々の症例に合わせてご一緒に判断して行きたいと考えております。
ワクチンの目的
新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重症者の発 生をできる限り減らし、結果として新型コロナウイルス感染症のまん延の防止を図る。(首相官邸)
ワクチンの有効性
新型コロナウイルス感染症の発症を予防します。ワクチンを受けた人が受けていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少ないということが分かっています。(発症予防効果は約95%と報告されています。) なお、本ワクチンの接種で十分な免疫ができるのは、2回目の接種を受けてから7日程度経って以降とされています。現時点では感染予防効果は十分には明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります。(厚生労働省)
結論から申しますと、原則として下肢静脈瘤治療に緊急性はありません、現時点で優先すべきは新型コロナウイルス感染症による重症者や死亡者の数を減らし、結果として新型コロナウイルス感染症のまん延を防止することです。 ワクチンを近接時期に接種できる予定の方は体調を整えワクチン接種を優先することをお勧めしています。
3週間後に2回目のワクチンを受け、明らかな副反応が無いのを確認してから下肢静脈瘤の診療を検討してはいかがでしょうか?
ただ、現実として下肢静脈瘤に起因した表在静脈血栓症を合併し、結果として予定していたコロナワクチン接種が延期となった患者様がこの1ヶ月で2名ほどいらっしゃいました。
ワクチン接種予定が未定であり下肢静脈瘤でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
下肢静脈瘤に対する治療が必要な場合は個々の患者様と話し合いながら適切な方法を検討させていただきます。
下肢静脈瘤手術をワクチン接種よりも先に行なった場合、術後1週間の診察において何も問題がなければワクチン接種は可能とされています。