下肢静脈瘤Q&A

下肢静脈瘤Q&A

下肢静脈瘤は薬で治療できませんか?

残念ながらお薬で静脈瘤を治すことはできません。
手術以外の方法としては「弾性ストッキング」があります。
静脈瘤の症状である、足のむくみやだるさを改善する効果がありますが、あくまで症状に対する治療であり静脈瘤が消えて無くなるわけではありません。
ヨーロッパの学会では一部の柑橘類に含まれるフラボノイドが静脈の炎症を修復しむくみを改善させると報告していますが、現時点で国内の医療機関で処方できる内服薬はありません。

下肢静脈瘤を放っておくとどうなりますか?

放っておいても直接命に関わるようなことはありません。
また、脳に血栓が飛んでしまう事も、足を切断しなければならなくなることもありません。
ただ自然に治ることはないため少しずつ悪化していきます、悪化のスピードには個人差がありますが、足のこぶはだんだん大きくなり、皮膚に茶色い色素が沈着するようになり、虫に刺されたようなちょっとした傷がなかなか治らないといった経過をたどり最終的に皮膚に穴が開く(皮膚潰瘍)場合もありますが、全ての人がそうなるわけではありません。
また経過中に、静脈瘤の中で血が固まって血栓を形成し、今まで何ともなかったのに急に痛みが出てくることもあります。
できればこういった皮膚潰瘍や血栓を形成する前に治療を行うことをお勧めします。

足の静脈を焼いたり取ったりしても大丈夫なのでしょうか?
術後問題になることはありませんか?

弁が壊れて正常に機能しない血管だけを選択的に処理します。
正常に働いている静脈はすべて残りますので、心配はいりません。
ただ、正常に機能していない血管を正確に判断するためには血管外科に習熟した施設で検査を受ける必要があります。
判断が正確でない場合、手術をしたのにすぐに再発してしまう事もあります。

下肢静脈瘤はストリッピング手術の成績が最もいいと聞きました。
ストリッピング手術を選択することもできますか?

当院では2014年の開業当初よりストリッピングを含めた下肢静脈瘤の根治治療を行っています。
ただ最近では、学会でもほとんどの症例でレーザーやラジオ波治療でもストリッピングと同等の成績を残せるといった報告も増えてきており、当院でもストリッピング手術をお勧めする機会は減っています。
しかし一部の患者様の血管の状態によってはレーザーやラジオ波治療に向かない場合もあり、その場合はストリッピング手術をお勧めしております。
全て症例を無理やりレーザーやラジオ波で治療を行うのではなく、どの術式が患者様にとってより安全で快適な手術か?
当院では患者様の病状に合わせた最適な治療法を提案し選択します。

静脈瘤のある足にマッサージをしても構いませんか?

血管外科医としての立場からは、静脈瘤のある下腿は直接マッサージしないほうがいいと思います。
強くもむと静脈瘤自体が破れてしまい皮下出血などがおきてしまうこともあります。
稀には静脈と強く押しすぎて静脈壁の内側を傷つけてしまい(静脈内皮障害)静脈血栓を起こしてしまうこともあります。
もしマッサージをされるにしても静脈瘤がない場所(例えば足裏など)にとどめておいたほうがいいでしょう。

手術をしないほうがいい下肢静脈瘤はありますか?

静脈瘤の原因として、表在静脈の逆流が原因となる静脈瘤(一次性静脈瘤)と深部静脈血栓症や動静脈瘻など何か他に下肢のうっ血をきたす病気が原因として存在する静脈瘤(二次性静脈瘤)があります。前者(一次性静脈瘤)の場合は手術により様々な下肢静脈瘤に伴う症状改善が期待されるため手術をお勧めします。
後者(二次性静脈瘤)の場合は手術をしないほうがいい、というよりも手術をしてはいけない症例が多いです。
二次性静脈瘤に気付かず一般的な静脈瘤手術を行ってしまうと、むしろ症状が悪化するケースもあります。
下肢静脈瘤の治療を受ける際には深部静脈の状態を判断できる、血管外科に習熟した施設で検査を受けることをお勧めします。

ストッキングを履くと下肢静脈瘤が治るのですか?

弾性ストッキングを履いて治るのは下肢静脈瘤の症状になります。(対症療法)
下肢静脈瘤はある特定の血管(伏在静脈)に逆流が生じることにより本来心臓に戻るべき血液が足の静脈内に貯まってしまう病気です。
そのために痛みや浮腫み(むくみ)、重だるさ、皮膚炎などの様々な症状が起きることになります。
弾性ストッキングとは足の静脈瘤内に血液がたまらないようにするための構造で作られており、着用することにより足に貯まっていた血液が心臓に戻りやすくなり、下肢静脈瘤に伴う様々な症状が改善するというものです。
従って、弾性ストッキングを着用しても症状改善効果は期待できますが、長期間使用しても足に血液が溜まる原因(血管の逆流)が改善することはありません。