下肢静脈瘤の種類
日本では下肢静脈瘤の分類として
- 伏在(ふくざい)型
- 側枝(そくし)型
- 網目状
- くもの巣状
の4種類の分類が主に用いられます。
基本的に手術や血管内治療が必要になるのは、「1伏在型」のみとなります。
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手術 | 硬化療法・弾性ストッキング |
- 下肢静脈瘤は飲み薬などの内服治療では治すことはできません。
- 一部の下肢静脈瘤では足の血流を正常に戻す手術が必要になる場合があり、術後の足の状態は、術者の技術や経験により大きく変わります。
- 血管外科手術に習熟した医師による正確な診断を受けることが大切であり、日本静脈学会の声明にもある、不適切治療から自身を守ることにつながります。
下肢静脈瘤の原因
(伏在型)
下肢の静脈には、筋膜(筋肉を覆う膜)よりも深い場所を走行する「深部静脈」と皮膚と筋膜の間を走行する「表在静脈」があり、静脈瘤ができるのは皮膚に近い「表在静脈」になります。
また、下肢の静脈には血液が重力によって下肢に溜まり過ぎないように静脈弁(逆流防止弁)がついています。静脈弁が存在することにより静脈の血流は心臓に向かって一方通行の流れになっていることが正常な血流になります。
血液の逆流をふせぐ静脈弁が壊れると、本来心臓に戻っていくはずの血液が重力によって足の静脈に溜まり血管がコブのようにふくれてしまいます。
また、血液が溜まり静脈の中の圧力が高くなることによって様々な症状が出現し、皮膚炎などの炎症の原因にもなります。
静脈弁が壊れる原因は遺伝や妊娠・出産、長時間の立ち仕事などがあります。
下肢静脈瘤のできやすい方
- 性別
- 女性の頻度が高い
- 年齢
- 加齢とともに頻度が増加する
- 遺伝
- 家族に静脈瘤がある方に起きやすい
- 仕事
- 立ち仕事に従事する方に多くみられ、進行しやすい
- その他
- 妊娠・出産をキッカケにしてできやすくなる(特に2度目の妊娠でできる方が多い)
よくある症状
下肢静脈瘤の代表的な症状は、以下の3つが挙げられます。
- 足の血管がボコボコと盛り上がる
- 足にむくみがある
- 足の皮膚に色素沈着がみられる
その他の症状
- 夜中に足がつる
- 足の静脈に沿って痛みが出る
- 足にかゆみがある
- 足に不快感(だるい・痛い・重い・ジーンとした鈍い痛み)がある←長時間の立ち仕事の後や夕方に強くなる傾向
- 足に湿疹や出血がある
- 足の皮膚表面が脱落し潰瘍ができる
下肢静脈瘤セルフチェック
下肢静脈瘤は心臓に戻るはずの血液が、重力によって逆流し足の表在静脈に血液が溜まってしまう病気です。
逆流量の評価としてはAPG(空気容積脈波)検査があり、1秒間に2ml以上の逆流があった場合は異常逆流と考えられています。寝た状態や立ってすぐの状態では血液がほとんど足に溜まっていませんので、セルフチェックを行う際には少なくとも30秒以上、できれば1分間ほど立った状態を維持して観察しましょう。(ふくらはぎやもも裏の血管は大きな鏡の前で観察すると、より確実なチェックができます。)
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セルフチェック見た目の症状
- 血管が浮き出て、ボコボコしている
- 血管が浮き出て、明らかに蛇行している
- 血管が浮き出てはいないが、手で触れてみると皮膚の下にボコボコしたものを触れる
(転倒防止のため、椅子に座って触れてみましょう) - 血管が浮き出ていないが、スネの内側や足首周囲に皮膚の色が茶色に変化している部分があり、明らかな左右差がある
どれかひとつでも当てはまる場合はセルフチェック2へ
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セルフチェック自覚症状
- 脚がむくみやすい
- 夕方になると足が重だるくなる
- 寝ているときに、よく足がつる
- 脚のほてりや熱さを感じることがある
- 脚にかゆみや湿疹、色素沈着がある
セルフチェックに当てはまる自覚症状がある人は、下肢静脈瘤を発症している可能性があります。詳しく調べてみたい方は一度専門医を受診することをお勧めします。
下肢静脈瘤の症状の多くは昼間の起きている間に(足が心臓より下にある状態)、異常な量の血液が足に溜まることにより感じる症状であり、症状の感じ方には個人差があります。
つまり正常範囲の血液の溜まりでも異常な症状と勘違いしてしまう方もおられるため、必要のない手術を勧められるケースがあるようです。
特に手術を急ぐように迫られる場合や、執拗に両下肢同時手術を勧められる場合はその場での判断はせず、一旦持ち帰りましょう。